●アルファロメオ(1)
 男は車と女が好きだ、といわれる。女が好きなのは自然の摂理だが、車はなぜ好きなのだろう? 詳しくはわからないが、乗って楽しい車と過ごす時間はなにものにも変えがたい、というのはボクにとっての結論でもあるのは確かだ。

 ボクの愛車はアルファロメオ(LINK-J)(LINK-E)である。フェラーリよりも歴史のあるイタリアのメーカーだ。歴史については詳しく書かれているところがあるのでここでは書かないが、戦前からレースに参戦しているのでスポーツカーのイメージが強く、現在もそのイメージからかイタリア語の「Cuore Sportiva」(英語では「Sport Mind」)を表面に出してコマーシャルを展開している。不遇の時代も長く、苦汁をなめてきたが、同じイタリアのメーカーであるフィアットの傘下に入ってからは、安定した経営を行っているようだ。
 さて、「156」(LINK-J)(LINK-E)というのがボクの車で、1997年のヨーロッパカーオブザイヤーを受賞して、セ−ルス的にも成功し、日本でもよく見るようになってきた。4枚ドアのセダンで、BMWの3シリーズやAUDIのA4、メルセデスのCクラスあたりと競争する位置にいる。もちろん数的にはライバルたちほど売れてはいない。いいかげんなイタリア人の作る車は壊れる、という伝説もあってだが、これはあくまで昔のことで(本当にひどかったらしい)現在は他の車と比べてもそんなことはない。ディーラーが弱いのと知名度の低さが問題で、目にする機会が少ないと思っている(それはそれでありがたいのだが)。

 じゃあなんでその車を選んだのか? 教えて進ぜよう(笑)。
 デザイン。デザインの優れないモノだったらない方がマシ、というひねくれたスタンスがあるので、これは譲れない。日本車は、最近になっていろいろ面白くなってはきたが、まだまだだ。BMWもいいが、日本にあってはポピュラーすぎてボクにとっては選択肢からはずれる。ワルター・デ・シルヴァというアルファのデザインセンターのチーフの立場にいたデザイナー(現在はVW傘下のセアトのデザインディレクターとなっている)が施した156のデザインは、一言でいって「美しい」。その独特の「顔」には好き嫌いあるだろうが、ボクは好きだ。これは、実際に車を見ないとわからないのだが、あえていえば、そのデザインは工業的ではなく、彫刻的なのだ。実際にモックを手で削りながらデザインしているというのも頷ける。
 内装もスポーティーでいい。メーター類は全てドライバーを向き、「やる気」になるコックピットに仕上がっている。多少安っぽさや作りの荒さもあるが、それは許してしまえる。
 モダンなアルファのデザインは、フェラーリで有名なカロツェリアのピニンファリーナによる旧Spider(映画「卒業」で有名だ)、また別のカロツェリアであるザガートが作り出したSZ/RZを発端に、当時ピニンファリーナに在籍していたエンリコ・フミア(LINK)よってデザインされた164、GTV、Spiderあたりからいい意味でキレてきている。そしてデ・シルヴァの初仕事である145もすばらしく(内装が好きじゃないんだよな〜)、フラッグシップである166もエグく、今度発売される147(145の後継で、アルファでのデ・シルヴァの最後の仕事)もまた、いい。

 きっかけは、今はENGINEの編集長であるスズキさんが編集長をやっていた時代のNAVI。ここに145が登場したのだった。そのころ156はまだ発表もされておらず、車欲しい症に悩まされていた時期だ。デザインのいい車はないかをなんとはなしに探していた。そして145の写真を見て「コレダッ!」と思ったのが運の尽き。そう、最初は145を考えていたのだが、インテリアが今ひとつ好きになれず、迷いに迷い、混迷を極めた時代といってもいいだろう(笑)。そうこうしているうちに156が発表され、日本でも発売されてディーラーでやっていた発表会で実車を見て……。どうやって金策したかは明かせないが、初期ロットの156が我が家にやってきた。
 そして、第2の理由。……実はそんなものはないが、乗りはじめてから理由がわんさか出てきたのだった。
(つづく)

13/October/2000

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