●機械式腕時計(1)
 車が好きな人間は時計も好きだったりする。同じアルファ156を乗っている仲間でも、時計好きは多い。ちなみにボクの横に座っているTさん(♀)も時計が好きで時々スピードマスター(オメガ)をしているし、上司のT氏もIWCをしている。キムタクがドラマでしていたRolex Explorer I はプレミアが付いて、数年経っているにもかかわらず定価以上でしか買えないし、同じくRolexのクロノグラフである「デイトナ」も、ニューモデルが出たこともあっていろいろと騒がしい。時計に関する雑誌類も多く、今、その数が一番多いのではないかとも思える。いつからこんなに流行しだしたのだろう。
 ボクももともと嫌いではないので10年ほど前にRolexのバブルバックのレプリカを買った経験はある(自動巻ではあるのだが安物なのでサビてきた)が、まともなモノは持っていない(買えない、というのが正しいか)。今しているのは日本には輸入されていない独ブラウン(シェーバーで有名!)のクオーツ。ニューヨークのMOMAショップでも売られているのを見て、デザイン的に認められているのが嬉しかったが、それはそれ。クオーツは正確なだけで、外面のデザインに重きが置かれ過ぎるし、そのイメージの安っぽさにも哀しさがある。スウォッチも嫌いではないが耐久性もないし、おもちゃに近い。いや、時計は全ておもちゃ的であるべきだと思うのだが、スウォッチはモノとしての悦楽に欠けている、とでも言うべきか。
 機械式がとにかく欲しい。腕時計という限られたスペースの中で精巧にメカが稼働することは、ちょっと考えても凄いことだし、さらにそこに複雑な機能を加えることに挑戦するなど、そこには凄まじい職人技と天才なくしては成立しない世界がある。女性は宝飾系(カルティエとかブルガリとか)のメーカーに行きがちで、ロレックスを除いてレディースサイズで機械式が少ないのは小さいケースに機能を詰め込むことの難しさもあってだが、女性が機械であることを求めていないせいもあるのだろう。女性が男物の腕時計をしているのを見かけることも多くなったが、機械式が好きで仕方ないからなのか、はたまた大きいのが好きだからなのか、そのへんはよくわからない。
 腕時計の本場はスイスである。フランスにもイタリアにもアメリカにも、もちろん日本にも立派なメーカーはあるが、ロレックスやオメガといった、みんなが知っている高級腕時計メーカーはスイスにある。その他にも、バセロン・コンスタンチン、パテック・フィリップ、フランク・ミュラーなどはロレックス以上の高級メーカーで、100万円以下のものを探すのに苦労したりする。IWC、ジラール・ペルゴ、ゼニス、ブライトリング、ジャガー・ルクルト、クロノスイスなど、キャリパー(腕時計の中に収まるメカの部分)にもこだわるスイスの会社も多く、宝飾系のメーカーにそのキャリパーの提供をしている会社さえある。バーゼルフェアという時計の一大見本市もスイスで行われ、これと同時期に開催される「ジュネーブ・ショー」と言えば、時計のショーである(車のジュネーブ・ショーもあるけど)。ブレゲやパネライ、ブルガリやカルチェ、セイコーやシチズンといったスイス以外のメーカーも世界的なプロダクツはここに出展する。
 そしてボクが欲しくて買えないのもスイスの製造。
(つづく)

17/October/2000

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