●リモワ
 妻が三内丸山遺跡の調査に同行したとき、服がプリーズプリーツで、鞄がリモワのボードケースだった。調査団の長老はそれを見て「ヒダヒダが好きなのネ」と言ったそうだ。
 プリーズプリーツ (LINK) はご存じ三宅一生のトレードマークとも言えるプリーツ生地をカジュアルに仕上げたブランドで、しわにならず、軽いので便利に使っているようだ。全面細めのプリーツなので、たしかに「ヒダヒダ」だ。
 もう一方のリモワ (LINK-Original) (LINK-J-Importer) だが、ドイツのカバンメーカーで、アルミ軽合金のスーツケースが有名だ。アメリカにゼロ・ハリバートン (LINK-Original) (LINK-J-maina) という金属のアタッシュケースで有名な会社がありよく比較されるが、軽さに於いてリモワの方が勝る(というより、スーツケースに関して言えば、世界一軽いと言われている)。強度の面から言えば側の厚いゼロハリの勝ちだが、軽いリモワもリブ加工することで強度を増している。昔の飛行機で、外面が箱形の金属で、そのにヒダヒダのあるのがあるが、ご存じだろうか。それと同じ原理で、リモワのケース類にはヒダヒダがあり、トタンと同じ原理で強度が増しているのである。なお、日本には、日本向けにドイツで制作されたものが輸入されているとのことだ。

 我が家には全部で4つのリモワがある。「サバンナ」のボードケース、「トパーズ」のキャビン・トローリー、同じく「トパーズ」のスーツケースが2つ。「」でくくったのはシリーズ名だ。「サバンナ」は最もリーズナブルなもの、「オパール」がその上、「トパーズ」はその上の標準的でもっともラインアップの充実したグレード、本国ではその上に「シルバー・インテグラル」があるのだが、現在日本には入ってきていない(追記:その後、入荷されるようになった)。その他ABS樹脂を外装に使った「サンバ」「サンバ・ヌォーバ」(これはサルサというシリーズに変わっているようだが……)「リンボ・アズール」があり、部分的に日本に入ってきているものもある。
 ボードケースは飛行機内持ち込みサイズのトランクで、小旅行にはもってこいだ。家にあるトロリーケースは小さめのもので、ボードケースよりちょっとだけ大きいだけだが、車輪と引き手ハンドルがあり、中身をぎゅうぎゅうに詰めてもけっこう楽に使える(機内持ち込みはできないらしい)。夫婦で小旅行するときはこいつたちを一人ひとつ使うことになる。

 最初手に入れたリモワはスーツケースだった。スーツケースは、とにかく軽さが勝負だ。しかしデザインやモノとしての完成度だって高い方がいいにきまっている。いろいろ見て回り、ゼロハリのものもあったが、重すぎて話にならない。結局のところリモワしかない。しかし、何にしても高い。日本製の樹脂スーツケースと比べる意味もないくらいだ。どうしようかかなり迷ったが、清水の舞台から飛び降りるつもりで(オーバーすぎ)買うことに決めた。そうと決めたら少しでも安く買わなければならない。安いであろう御徒町のかばん店をシラミ潰しに見たり、職場近くの神保町、レオ・マカラズヤに行ったが、他のメーカーのものはいくぶんか値引きがあるもののリモワに関してはどこの店も値引きがない。そういうものらしい。
 しかし、あきらめずに探してみるものだ。なんと、2割引の店を見つけた。場所は御徒町。あの「多慶屋」の近くだ。カード支払いだと15%引きだが、現金だと20%オフになる。他にリモワ安売りの店はいまだ見つかっていない。(追記:名前がわからなかったが、最近判明した。大澤鞄嚢製作所という店で、その後ホームページがあることもわかった(LINK)。)
 そして、その軽さとモノとしての魅力は、虜となってしかるべきものだった。妻の小旅行用にボードケースを手に入れ、妻のベトナム行きにあわせて2つめのスーツケースを入手、そして最近キャビントローリーが仲間入りした。ボクもそうだが、妻が大のお気に入りなのだ。(追記:また買い足した。今度は、「トパーズ・ゴールド」のバニティーケースだ。金色は派手かと思ったが、意外にも落ち着いた高級感があり、妻は満足げだ。)最初のスーツケースは車輪が2つしかなく、地面を転がすには、片方を持ち上げて引っ張ることになる。重くなると少々辛い。入手した当時はそれしかなかったのだ。数年前から4輪のものが出回り、一段と使い勝手が増した。

 アラン・シリトーの小説に子供が銀色でシールがベタベタ貼ってあるスーツケースを転がしている記述が出てくる。おじいさんが世界旅行したときのものだ、と説明されている。ぶつけてへこみ、傷さえもカバンの風格になる。
 ちなみに、我が家のリモワにはそれぞれシールがひとつだけ貼ってある。かじられたリンゴの形をしたそのシール、あるコンピュータメーカーのシールである。

original: 23/0ctober/2000 ("Tsugaru-ben" Day!)
update: 22/March/2002 (in1923 Marcel Marceau was born!)

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