●野菜(2)
 「無農薬」や「有機栽培」は、もはやブランドである。ブランドであるから厳密に管理されてしかるべきだが、その指針は最近出されたばかりのお粗末さ。優れたブランドの運命といえば偽ブランド。直接口に入るものなだけ、現実には困ったことになっているらしく、憂いている。

 さて、ブランドにはなにがしかのブランド力を持っているからこそはじめてブランドとなるのだが、ここでのブランド力とは何か?
 「健康」はいつの時代にも大きなキーワードだが、環境保全や公害に対する問題意識とは違った次元で、「体にいい」が、いま大流行だ。「あるある大辞典」や「ためしてガッテン」などのテレビ番組の影響もあり、放映の次の日にはスーパーでもその商品は売れるようで、わざわざ「テレビに紹介されました」といったような小さな(時に大きな)カンバンが掲げられているのをよく目にするようになった。
 そう、「無農薬・有機栽培」のブランドはこの「体にいい」ことの最先端なのだ。

 最近、市井に無農薬/有機を掲げた店が増えてきた。ある程度の生活レベルにある奥様方に人気のようだ。何たって、普通の八百屋やスーパーで買うよりべらぼうに高いのだ。ブランドの面目躍如といったところか。少量を独自の流通に頼って仕入れ、店舗で売るのはそれ相当のコストがかかるのは当然だろう。だから安くないのはわかるが、それにしても高くないか? 安いと逆に売れないって?そうかもしれないけどねぇ。
 角田さんから野菜が届かなくなって、そういった店も視野に入れなかったワケではない。しかし、このブランドを盾にした商売には納得できない。奥様方が喜んでも我が家では喜ばしいことではない。生産者にしても、小売りで必要以上に高く売られることは喜ばないだろう。いや、ブランドをかざそうとする生産者の存在を仮定すれば、流通・小売りと結託して高値販売を目指している図というのも描けてしまう。踊らせようとする供給側と踊らされることを喜ぶ消費者で出来上がった実際には意味のない空虚な構図を思い描くとき、怒りを覚える。

 そうこうしているうちに、妻の兄と結婚した相方が、「大地」から野菜を買っているという話を聞いた。スズキ大地は知っているが、何だ「大地」って? 聞くと、宅配の食材屋さんとのこと。生協などでもやっているあれだ。共働きなどで忙しい家庭が、注文書に記入するだけで食材を宅配してもらえる。肉や魚、野菜などの生鮮食品はもとよりふりかけやパン、干物なんかの加工品、調味料や生活雑貨まで扱っていたりするから楽チンだ。最近ではあのセブンイレブンまでこのシステムに参入しはじめた。トレンドなのだろう。

 その「大地」(LINK)は、無農薬有機栽培で生産者が誠意を持ってつくった食材を、正当な価格で消費者に届けるという。他に類似する「らでぃっしゅぼーや」(LINK)という業者もあるらしいが、詳しくは分からない。大地と同等だったら、こちらもいいだろうが、ホームページを比べる限り、「らでぃっしゅ」の方が軟弱に見える。先に書いた生協の宅配を頼んでいる人も多く、たぶん、そちらの方が安いのだろうが、大地ほどまでに生産者・メーカー選定の厳しさがあるとは思えない。
 ためしだ、いっちょその「大地」とやらに頼んでみるか。
(つづく)

25/December/2000 (Christmas, and in1954 Annie Lennox was born!)

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