●CCCD
 CCCDをご存知だろうか。Copy Control CDの略で、パソコンから読めないように作られたオーディオCD(CD-DA: 厳密に言うと“似非オーディオCD”)の略だ。パソコンを使ってCD-Rに完全なコピーを焼いてしまったり(しかも買ったCDを中古店に売却)、ネットに音楽の圧縮ファイルを置いて違法コピーするなど、著作権違反の複製が横行するようになったことによるレコード会社の抵抗だが、問題は、「これはオーディオCDではない」ということだ。米Macrovision社(LINK)のCDS (Cactus Data Shield) 技術を盛り込んでいるCD(似非CD)を指すが、2003年4月には全世界で1億枚を超えているというのだから一般化していると言っても間違ってはいないだろう。日本でも各社いろいろと工夫しながら採用していて、マークを見たことがある方も多いだろう(LINK)。明確な表示が推奨されているので、店頭での区別はつけやすい。イヤだったら買わないという自由は保証されている、というわけだ。輸入盤でも急速にCCCDは増えており、Copy Control Logoもあり(LINK)、表示されているので買わない自由は得られている。

 何が問題か?
 まず、CD-DA(オーディオCD)の規格(通称レッドブック)に準拠していない。なので、Compact Disc Digital Audioの見慣れたロゴが使えない。ロゴがない程度ならいいのだが、規格に対して微妙にずらしてパソコンで読めないようにしてある。CD-DAでもキズ等でエラーが出た場合、普通、CDプレーヤ側でエラー訂正をし、正常に聞こえるようにするのだが、CCCDは言わば満身創痍のCD。エラーだらけなのだ。CDプレーヤは想定以上のエラーと戦わなければならない。なので、通常、CDプレーヤのメーカーでは「かけても大丈夫」という保証をしてくれていない。どういうことかというと、CCCDが原因でプレーヤが壊れても「あなたの責任」と言われてしまう。「再生を保証していないCCCDをかけたあなたが悪い」と言われるのだからたまったものではない。実際に壊れたという話も流れているが、確認できないので何とも言えない。しかし少なくともCDプレーヤの寿命は縮まるだろうことは予想に易い。防御策としては「CCCDをかけない」以外にない。
 次に、音質。CD-DAに較べて劣るのだ。較べようがあるのか?という疑問もあるだろうが、同じタイトルのCDが日本でCCCD、他国でCD-DAで出されている例があるので、それを比較すればわかる。マスターと比較しなくてはわからない、という言い分もあるが、とりあえずの感想。聴覚上の問題のなので言葉にすることは難しいが、細部が潰れて伸びがなく、例えて言えばCD-DAがちょっと質の悪いコート紙、CCCDが新聞紙、といった具合だろうか。その紙に印刷されたとして、情報は得られるが質が悪いのだ。これを嫌ってアーティスト側でCCCDでリリースすることを拒否している例もある。
 そして、パソコンで読めないということは、パソコンで読んでデータ化し、そのデータを携帯プレーヤにコピーして聞くという手段が奪われるということだ。MP3とい単語を聞いたことがある方もいると思う。オーディオデータを圧縮して小さくする技術で、音もそれほど悪くないのが逆に命取りだった。ネット上で流れ、違法コピーの温床になった。確かに違法コピーは悪いのだが、自分で買ったライセンスを行使できなくなるわけだから、自分で買ったCDでもそれができない。携帯音楽プレーヤとして買ったMP3プレーヤへの投資が無駄になるということだ。
 CDSのテクノロジーには、パソコン(Windows限定だが)で聞けるファイルを収めることも含まれている。しかし、音質の問題は聞く気を起こさせない。
 詳細は個人的なサイトに詳しい(LINK-CCCD Channel) (LINK-C堂7)ので参照されたし。

 最近の洋楽のCCCDの動きがちょっと変だ。レディオヘッドの「Hail to the Thief」、日本盤はCCCDだ。US盤、UK盤はCD-DAなのに、日本に入ってきているEU盤はCCCDなのだ。マッシブ・アタックの「100TH WINDOW」もそう。また、最近出たケヴィン・エアーズの初期4枚のリマスター盤もEU盤はCCCD、UK盤はCD-DAだったりする。デビッド・ボウイの30周年記念盤のリマスターも然り。UKやUSではCCCDの割合が少ない。権利と弁護士の国ではCCCDが回避されているのだろうか? 日本のリスナーもなめられたものだ。ボクはUKから直接買ったりして、無駄な出費(送料が高くてね!)を強いられている。しかも到着するまでCCCDかCD-DAかわからない場合も多く、苦労している。

 レッドブックは、パソコンによるコピーなどは想定していないので、著作権保護のシステムがない。比較的新しい規格であるDVDビデオはその辺ちゃんとしている。(ちゃんとしすぎていてリージョンコードが違うだけで再生できない。USオンリーの流通を考えたリージョン1のディスクは、リージョン2の国である日本のプレーヤではかけられない。)
 同様に新しいDVDオーディオの規格も著作権保護のシステムがしっかりしているし、CD-DAの新世代規格とも言えるSuper Audio CD (SACD)も著作権保護システムが完備されている。この二つの規格はソフトの充実とプレーヤの普及が鍵だが、 まだ道は遠い。これらの規格、先の紙の例えでいえば、平滑かつナチュラルなケント紙といったところか。結局購入したSA8260はベストではないものの、いい選択だった。SACDソフトの充実を望む。
 そういえば2002年春に発表された、DVDオーディオ陣営のワーナー・ミュージックもSACDを出すという話、一体どうなったのだろうか?

 そしてひたすらCCCD不買を続ける日々なのであった。音楽を本当に愛する物にとって、苦しい世の中になったものだ(自慢になるのかどうかわからないが、ボクはオーディオCDをこれまでに2,000枚程度買っている。違法コピーもしない)。

04/July/2003 (in1969 Hiroko Grace was born!)

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